失敗ラジオ

一つ失敗すると、決まって新たな失敗が追い討ちをかけるように私をいたぶるのはなぜなのか?

ダークな気持ちを少しでも癒したいと apple Musicで「失敗」を検索してみたところ 「失敗ラジオ」というのがあった。
選択すると森田童子「僕たちの失敗」が流れ始めた。

♫例えば僕が死んだら~ そっと忘れてほしい~

もはや、死んだ自分なんて他者の中からそっと消えたいという儚い願望。
でも多分、忘れてほしいってわざわざいうくらいだから、 忘れて欲しくはないんだろうねほんとは。
なんてこの曲が主題歌だったドラマ「高校教師」を思い出していた。
森田童子が終わると今度は川嶋あい「僕たちの失敗」。
それからテクノ・エレクトロニカっぽいイントロに 遠くから聞こえるようなボーカロイドの声が重なった。
耳をすますと、「菜の花畑で泣いてくれ」とか言っていて、 これってまたも僕たちの失敗!
もしかして、この失敗プレイリストは全面的に「僕たちの失敗」のみをフィーチャーしたものなのだろうか?
続いてカヒミカリィのようなウィスパリングボイスのフレンチポップバージョン、 こぎれいなクリニックでかかっていそうなオルゴールバージョン・・・
あらゆる「僕たちの失敗」が繰り返された。

この頃にやっと、このプレイリストは全面「僕たちの失敗」なのだろうとわかった。
にもかかわらず人間というのはつい油断をしてしまうもので、 メロコアっぽい若さで爆発しそうなイントロが始まると、 スネイルランプかな?懐かしなぁなんて思ってしまう。
その直後、すごく元気いっぱいの声で「たとえばぼくがしんだら~!」と始まった。
まるで死んだそばから生き返りそうな、それでいて明るすぎて逆に悲しみを誘うような とてもいいアレンジだった。

そんなわけで、様々な「僕たちの失敗」がこの世界にあることを知り、 いかにこの曲が愛されリスペクトされているかを理解した、 失敗続きのある日の夕方。

あらゆる人々による、あらゆる試行錯誤を繰り返しながら 僕らの失敗は続く。